ご近所さんの生活音が気になる!
ご近所さんの騒音がうるさいんだけど!?
特にフローリングは、音が伝わりやすいので、気になりだすと騒音にしか聞こえない、ということもあるかもしれません。
フローリングの生活音はどの程度まで、許されるのでしょうか?
今回は、フローリングの生活音が騒音とされ、慰謝料が認められた事例のご紹介です。
フローリングの生活騒音②
フローリングは音が響きやすいので、騒音の問題が起きやすいといえます。
では、どの程度の生活音までなら、一般的に許容範囲とされるのでしょうか?
裁判での事例を使って、ご説明します。
前回は、フローリングの生活音が許容範囲にあると判断された事例をご紹介しました。
今回は、フローリングの生活音が騒音とされ、慰謝料が認められた事例のご紹介です。
裁判例
【事例】
Xはマンションの一室に居住し、Yはその真上の部屋で家族とともに居住していたところ、Yが絨毯張りの床をフローリング床に張り替えたため、Yの部屋で発生する歩行音等の生活音全てが断続的に階下のXの室内に響き聞こえてくるようになり、Xに対し、受忍限度を超える騒音被害・生活妨害等をもたらし、著しい肉体的・精神的苦痛を与えるに至ったとして、Xは、Yに対し、慰謝料の支払い及び差し止め請求として従前の絨毯張りの床へ復する工事の施工を求めた。
【裁判所の判断】
〔慰謝料〕
次の点を考慮した結果、普通の人の通常の感覚や感受性を基準として判断すると、本件のフローリング敷設による騒音被害・生活妨害は社会生活上の我慢できる範囲を超え、違法なものであると判断され、Xの慰謝料請求は認められました。
①フローリング敷設の緊急性はない
②フローリング施工に際し、階下への騒音等の問題を認識しながら、事前の対策は不十分なまま施工した。
③Xの承認を得ること及び本件マンションの管理組合理事会への正規の届け出がなかった。
④本件フローリングは、絨毯張りの場合と比べ、防音・遮音効果が4倍以上悪化する種類の防音措置の施されていない1階用床板材を使用して敷設された。
⑤防音措置の施されている床板材を使用する費用は、それほどかかるものではない。
⑥Xらは、従前は静かさが保たれていた建物において、約二年半にわたり継続して、騒音の被害にさらされていた。
ただし、裁判で認められたのは、請求していた金額の25%でした。
〔フローリングの使用差し止め(従前の絨毯張りの床へ戻す工事の施工)〕
この裁判が行われる前に、マンションの管理組合の総会で、費用をXYの折半でY宅のフローリングを遮音性の高いものにする改装工事を行うという勧告が決議され、その勧告をXもYも一度は受け入れたという経緯がありました。
Y宅のフローリングの有用性は認められ、絨毯張りへの原状回復はYにそれ相応の費用と損害をもたらすことは明らかである上、一度は上記の管理組合の勧告を受け入れたという経緯を考慮すると、差し止め請求を認めることはできない、と判断されました。
※参考判例 東京地裁平成8年7月30日
前回と今回の裁判例を見ると、
フローリングの生活音が許容範囲とされるかどうかは、その音の大きさも、もちろん、重要ですが、これに加えて、ご近所さんに充分な配慮をしているかも重要な判断材料となるようです。
(次回へ続く)
次回は、犬の鳴き声に関する騒音の事例をご紹介します。