吹田市の司法書士、森高です。
これまで遺言書の作成方法や、その効力について、ご説明してきましたが、今回は、遺言書の作成者について、ご説明します。
【遺言書作成者の意思能力】
当然のことですが、遺言書の作成者には、意思能力が必要となります。
意思能力とは、正常に自らの意思を表示する能力のことです。
したがいまして、認知症などにより、自らの意思を正常に表示できない状態では、遺言書を作成することはできません。
成年後見制度を利用している方(成年被後見人)は、この意思能力が欠如している場合が多いため、遺言書を作成できない可能性があります。
(成年後見制度→http://www.moritaka-leo.jp/seinen/)
ただし、
成年被後見人であっても、意思能力が回復する場合もありますので、そのような場合には、2名以上の医師が証人として立ち会い、遺言書作成当時、遺言書作成者(成年被後見人)に意思能力があった旨を遺言書に書き加えておく必要があります。
【共同遺言の禁止】
2人以上の人が、同一の書面で、遺言書を作成することはできません。
例えば、夫婦が互いに、「自分の死後は、相手に自分の全財産を相続させる」という内容の遺言書を、夫婦連名で作成したとしても、その遺言書は無効となります。
この場合は、夫婦別々の書面で、各自で遺言書を作成しておく必要があります。
遺言書は、法律によって、その形式が厳格に規定されています。そのため、共同遺言を認めると、一方に不備がある場合に、他方の遺言の効力がどうなるか、といった問題が発生し、法律関係が複雑化してしまいます。
また、遺言書は、その作成者の意思によって、自由に撤回や取消ができる状態であるべきですが、共同遺言の場合、共同作成者の意思に左右される場合があります。
このように、法律関係の複雑化の防止、遺言書の撤回・取消の自由の確保などのために、共同遺言は禁止されています。
ちなみに、別々の書面に各自が遺言書を作成したものを、同一の封筒に入れておいた場合、これだけでは、共同遺言には当たりませんので、この場合の各自の遺言書は有効となります。
以上のとおり、
遺言書の内容や、形式だけでなく、遺言書を作成する人についても、法律で、その要件が定められています。
遺言書を作成しようと考えておられる方は、お気をつけください。