不動産を相続したら、相続人は絶対に不動産の名義変更の手続きをする必要があるのでしょうか?
【不動産を相続したら・・・】
相続による名義変更の登記は、法律上は、必ずその手続きを行わなければならない、というわけではありません。 名義変更をしなくても、罰金等の罰則もありません。
では、名義変更をしなくても、まったく問題がないのでしょうか? 実は、まったく問題がないわけではありません。
【相続人の数が、段々増えていく・・・】
例えば、不動産を所有していたお父様またはお母様がお亡くなりになり、現時点では、あなたとそのご兄弟が相続人であるとした場合。 通常は、相続人同士全員がお互いのことを知っているので、この時点では、不動産の相続方法について話し合わなくても、問題はないかもしれません。
でも、もし、将来、あなたが亡くなってしまったらどうでしょうか? 他のご兄弟も亡くなってしまったらどうでしょうか? おそらく、あなたのお子様やその従兄弟にあたる方が相続人となるという方が多いでしょう。 この時点では、まだ相続人同士が顔見知りかもしれません。
さらに、時間が経ち、あなたやそのご兄弟のお子様の世代もお亡くなりになった場合、その次の世代の相続人同士はお互いのことを知っているでしょうか? また、相続人の人数はいったい何人くらいになっているでしょうか?
【相続人全員の協力】
相続した不動産を、処分(売却、贈与など)しようとすると、その処分(売却、贈与など)の手続きをする前に、先に相続による名義変更が必要となり、必ず相続人全員の協力が必要となります。 しかし、相続人同士が、話したことも、会ったこともない、という場合、協力し合うことは難しいでしょう。
当事務所へご相談に来られた方で、不動産の名義が、その方のひいおじいさんの名義のままになっている方がいらっしゃいました。そのひいおじいさんの相続人は、何代か相続を繰り返し、ご相談に来られた時点では、相続人に当たる方が20人以上となっていました。 これだけの人数になると、ご相談者様も会ったことがないという方もおられました。 結局、相続人全員の協力は得られず、その不動産は、処分することもできず、ただ固定資産税を支払っているだけ、という状態になってしまいました・・・
以上のとおり、不動産の名義変更をしておかないと、法律上は問題がなくても、事実上、不動産を処分できなくなってしまうことがあります。 当事務所では、できるだけ早い段階で、相続による不動産の名義変更をしておくことをオススメします。